再生治療 上顎切歯(前歯)

症例紹介・犬
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犬 トイプードル 7歳 避妊雌

主訴

約一年前から口臭がするようになったという主訴で来院されました。

所見

口腔内の状況を確認したところ、全体的には少し歯石がついている程度でそれほど歯周病の進行は認められませんでした。

しかし、上顎の前歯は歯茎の炎症もあり、2本にぐらつきが認められるくらい歯周病の進行が疑われる状況でした。

治療

麻酔をかけて歯科レントゲンを撮影したところ歯を支える歯槽骨が全体的に破壊されており歯周病の進行が認められました。

飼い主様は見た目も気になるという事もあり、なるべく歯を残したいという希望がありました。

歯磨きを頑張るという前提で歯槽骨の再生治療をしました。

まずは、歯茎の中にたまっている歯垢など細菌をしっかり取り除く為歯茎を切開して歯の根元の汚れをしっかり除去します。

吻側観 正常犬 骨格標本 
口蓋観 正常犬 骨格標本 
正常犬 骨格標本 歯科レントゲン画像

※正常犬に比べ歯を支える骨が歯周病で消失している(肉眼写真、歯科レントゲン写真)

次に、綺麗になった歯根表面にエムドゲイン(液体因子)を塗布し、β-TCP(人工骨)を歯槽骨の欠損部に充填しました。

・1週間は歯磨き禁止

・4か月間は噛むおもちゃも与えない

上記を守っていただくよう飼い主さまにお伝えしました。

経過

2か月後の検診時はまだ切歯の動揺が見られましたが、3か月後の検診時には動揺は消失していました。

以下の写真は8か月後の検診時の写真になります。

歯茎の色もきれいになり引き締まって健康的な状態になっています。

治療前の深い歯周ポケットも消失していました。

歯科レントゲンを撮影し検査しました。

明らかに歯槽骨の増生が認められ再生療法が成功していることがわかります。

治療前
治療8か月後

前歯は犬歯や奥歯に比べ、狭いスペースに沢山の歯が存在するため複雑な形態です。

このことから歯根表面の歯石を丁寧に除去し、炎症を起こした組織を除去し、再生材料をしっかり充填していく作業がとても細かく大変になります。

すべての症例でこのような良好な結果が得られるとは限りませんが、どうしても歯を残したいという事であれば試してみる価値はあると思います。

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