歯磨きジェルの成分による違い

犬と猫の歯みがき
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歯磨きジェルの成分による違い

歯周病に効果があり、犬や猫が飲み込んでも安全性が高い成分は限られています。

まず、ジェルを選ぶ際にはどういう目的で作られたジェルなのか、成分名を見て何が入っているのかを確認する事が大切です。

特に、犬や猫では口がすすげず飲み込んでしまうため、安心して使用できるものを選びましょう。

化学成分が入っているからと言って健康に良くないという事はありません。

ペット関連商品ではペットフード以外に成分表記義務はありませんが、表記の無いものは使用を控えたほうがいいかもしれません。

歯磨きジェルの主な基本成分

湿潤材

グリセリン、ソルビトール etc

歯磨きジェルに適度な湿潤性を与える目的で配合。

水に溶けやすくジェルの成分が口腔内にいきわたりやすくするために配合されています。

香味料

香料…~フレーバーと表記されています

甘味料…サッカリンナトリウム etc

香りと味をつけて好んで使用できるようにします。

研磨剤

ゼオライト(沸石)

人の歯磨き粉の一部にゼオライトが含まれるものがありますが、これは歯垢除去効果を高める目的で使用されます。

しかし、これがポケット内に停留し、物理的な刺激になったり歯垢の付着場所になるリスクを歯科医師、獣医師が懸念しています。

特に犬や猫では口がすすげない為推奨されません。

歯磨きジェルの主な薬剤成分

酵素

・デキストラナーゼ:歯垢沈着抑制効果が報告されている

・リゾチーム:細菌を保護している細胞壁を攻撃する溶菌酵素と言われる

・ラクトペルオキシターゼ:細菌の利用するグルコースの取り込みを阻害して抗菌作用を示す

・ラクトフェリン:細菌の増殖に必要な鉄を奪う事で細菌の繁殖を防ぐ

これらの酵素を含む唾液は細菌による感染防御に大きな役割を果たしています。

乳酸菌

ロイテリ菌、L8020乳酸菌、LS1乳酸菌など

善玉菌には作用せず歯周病菌の増殖を抑制する事が報告されています。

口腔内が汚れていると善玉菌が増える事はありませんので、日々の歯磨きをした上で使用しましょう。主にサプリメントとして製品化されています。

ネオナイシン®

植物性乳酸菌由来抗菌ペプチドと植物エキスによる口腔用天然殺菌剤

歯周病菌、虫歯菌など広範囲な細菌に対しての効果が認められています。

消毒薬などの殺菌成分

イソジン、クロルヘキシジン、CPC(塩化セチルピリジニウム)、IPMP(イソプロピルメチルフェノール)

これらの殺菌成分の効果は高いものの、口をすすげない犬や猫には薬剤アレルギーや胃腸障害を引き起こすリスクを含め基本的に使用すべきではないと考えます。

上記の薬剤を使用しても口腔内の細菌を減らせてもなくなる事はありません。

歯周病予防の観点では善玉菌は殺菌せず、悪玉菌だけを殺菌する事が理想です。

しかし、そのようなものは明確に存在しません。

そのため細菌数を減らす効果が認められるものを上手に利用しましょう。

菌交代現象や耐性菌の増殖というものを考えると、消毒薬や抗菌剤の局所使用や抗生物質の内服など殺菌効果の高いものを積極的に使用するのは、歯肉の炎症が強い子、お口の痛みが強い子、歯磨きが難しい子など歯周病リスクが高いケースや現在歯周病に罹患している場合のみ検討するのが良いと思います。

まとめ

ジェルの成分による効果の差や安全性を単純に比較する事は難しいですが、今一度使っている歯磨きジェルがどういう成分、効果が期待できるのかは調べてみるといいでしょう。

また、口腔内環境、歯磨きの状況によって使用する物を選ぶことも大切になります。

どのジェルを使用するか悩んでいる場合には歯科に強い獣医師に相談することをお勧めします。

あくまでも歯磨きで大切なことは何よりも歯ブラシで歯垢を落とす事です。

その補助としてジェルを有効活用しましょう。

歯磨きジェルの選び方や使い方はこちらの記事を参考にしてください。

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