猫の歯周病について

口腔・顔面の病気辞典
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お口のトラブルナンバー1は歯周病

犬だけではなく猫にも歯周病はよく見られます。猫の口腔内疾患で最も多くみられるのは歯周病です。

ただ、犬と異なり単純な歯周病ではなく口内炎や吸収病巣といった他の疾患と併発している事が多くありますし、年齢が若くても発症する若年性歯周炎というものがあります。 

猫では歯磨きをする習慣がない飼い主も多く、口の中をすんなりみせてくれる子が少ないため、歯周病など口の中の異常に気付きにくいです。

下記のような状態は免疫力が低下していたり粘膜に炎症を起こしやすくなるため歯周病になりやすく注意が必要です。

・歯石が多く付いている
・野良猫で栄養状態が悪い
・ウイルス感染症に罹患している(猫エイズ、白血病)
・糖尿病や腎臓病に罹患している

猫の口腔内はアルカリ性にかたむいていて虫歯よりも歯周病になりやすい環境です。

猫の歯周病 重度
重度歯周病

歯周病が進行すると歯が勝手に抜け落ちてしまったり、顎の骨が腫れる危険があります。

歯周病を見分ける症状は?

・よだれが増える
・口臭がきつくなる
・歯茎(歯肉)が腫れて赤くなる
・口を気にする、痛がる
・ごはんが食べずらい、よく食べこぼす
・歯が抜け落ちる(重度⚠️)

上記のような症状がみられる場合は要注意です。

歯磨きの習慣がないと毎日お口の中を見るのは難しいと思います。

口の中のチェックは歯周病以外の病気の発見にも繋がります。

歯の状態だけでなく口臭も一緒にチェックしましょう。

口臭の原因についてはこちら

猫の歯周病の治療

歯周病は歯肉の炎症だけの歯肉炎と歯槽骨まで破壊が進行した歯周炎で区別し、進行度によって治療法は変わります。

歯周病進行度

歯石が沢山付いていて歯肉の炎症が強い状態では全身麻酔をかけての治療になります。

※人のように安全かつ確実な歯科治療をするためには全身麻酔は必須です。飼い主様自身で歯石をとる行為はとても危険です。

軽度な場合はクリーニングのみで済むこともありますが、重度になってしまうと抜歯が必要です。

猫の歯周病 クリーニングのみ
歯肉の炎症軽度 クリーニングのみ

中程度の歯周病治療は歯周外科治療など様々な治療の選択肢がります。病気が進行してしまう前に病院を受診しましょう。

歯周病治療の目的は歯茎の炎症や口臭がない健康的な口腔内環境を作ることで、痛みや口の不快感、感染症のリスクを減らすことです。

当院のクリーニングの症例はこちら

抜歯の治療症例はこちら

歯周病にならないようにするには?

フードの見直し

ウェットフードを主食としている場合やペースト状のおやつはなど、食べかすが付着し、長く歯にとどまってしまい口臭の原因や歯周病のリスクになります。

お口の状況が気になる場合は食べカスが残りずらいドライフードに変更してみましょう。

成猫になってからフード変更は難しい場合もありますので子猫の時期からドライフードを食べる習慣をつけられるといいです。

※ウェットフードのメリットは水分補給です。腎臓病や尿石症の子にはドライフードよりウエットフードの方が推奨されます。

歯のクリーニング

サプリメント、デンタルジェルの塗布、歯磨きなど日常のケアでは歯周ポケットに入り込んだ見えない歯石まで除去することはできず、歯石除去は全身麻酔下でしかできない処置です。

動物病院で定期的に全身麻酔をかけてクリーニングしましょう。安全かつ丁寧に歯石を取り除くことができ歯周病の改善、口臭対策へとつながります。

歯磨き

猫も歯磨きが必要?と思われる方が多いと思いますが、人間や犬と同様猫も歯磨きをすることで歯周病予防になります。

歯周病に対して最も効果的なものが歯ブラシによる歯みがきで、毎日たまってしまう歯垢が歯ぐきに炎症を起こさないように、歯石にならないようにするために行うケアです。

猫の歯磨きは子猫の頃から慣らすことが大切です。ただ、猫は必要以上のスキンシップを好まない子も多いです。性格によるものも大きいため、歯磨きができない、もしくは歯磨きをしていない飼い主さまがほとんどです。もちろん、成猫になってからでもできる子もちゃんといます。

毎日歯磨きをすることができれば口の中の観察もでき、口腔内疾患の発見にも繋がります。

猫は犬に比べて歯が小さいのでヘッドが小さなペット用の歯ブラシか人用の部分磨きができるブラシがおすすめです。

その子の歯にあった歯ブラシを使用しましょう。

詳しくは歯ブラシの選び方の記事を参考にしてみてください。

すでに猫の歯の状態が悪い、歯が抜けてしまったなどの症状がみられる場合は早期に病院の受診をおすすめします。

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