犬 口腔内メラノーマ(悪性黒色腫)

症例紹介・犬
Pocket

※閲覧注意(手術の写真が出てきますご了承の上お読みください)

8歳 ポメラニアン

主訴・所見

口臭がする、口から出血するという主訴で来院されました。

口の中を見てみると左の下あごの歯茎にかなり大きな腫瘍が認められました。

飼い主さまは全く気づいておらず、診察を受けて初めて見て困惑していました。

口腔内メラノーマ(悪性黒色腫) 犬

見た目は部分的に黒く表面が脆弱(ぜいじゃく)な事から歯肉にできたメラノーマである可能性が高いため迅速な対応が必要と考えられました。

まずは全身麻酔をかけて腫瘍の一部を切除し、病理検査に組織を提出しました。

結果は予想通りでメラノーマ(悪性黒色腫)と確定しました。

このまま手術をしない場合、

どんどん大きくなり出血も続く事で貧血になる恐れがある事、

口が痛くなってご飯が食べれなくなる事が予想されました。

現時点では肺やリンパ節には明らかな転移を起こしていなかったため、

腫瘍の広がっている左片側下顎切除と術後抗ガン剤を併用する治療が適切と判断しました。

治療
口腔内メラノーマ(悪性黒色腫) 治療 犬 手術

(クリックするとモザイクが外れます☝)

左顎にできた腫瘍はかなり大きいため左顎のすべてを切除しないといけなかったため、手術操作をしやすくするため口唇を一部切開しています。

口腔内メラノーマ(悪性黒色腫)治療後
口腔内メラノーマ(悪性黒色腫)切除部位
経過

手術後に左側にベロが出ないように口唇の形成手術も一緒に行っています。

手術にはかなりの疼痛が起こると考えられたため、手術中から麻薬を鎮痛剤として持続的に点滴しています。

そのため手術翌日には違和感を感じている様子はありますがご飯を食べることができました。

術後の回復も良好で、治療後には抗がん剤治療を頑張っています。

犬猫にできる口の中の腫瘍(基礎知識)
腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍がある 腫瘍というのは“できもの”と呼ばれ最終的に生命の危機に陥る悪性腫瘍と命に影響を及ぼさない良性腫瘍があります。 良性腫瘍は増大スピードが遅く、周囲の組織に浸潤はせず、転移も起こしません。 しかし、悪性腫瘍はそ...
犬の口腔内にできる悪性腫瘍
発生の多い順にメラノーマ、扁平上皮癌、そして線維肉腫となっています。 棘細胞性エナメル上皮腫は良性腫瘍に分類されますが、顎骨に浸潤することも多くあるためここでは悪性腫瘍の分類に含めています。 メラノーマ扁平上皮癌線維肉腫棘細胞性エナメル上皮...
タイトルとURLをコピーしました