犬の口腔内にできる悪性腫瘍

口腔・顔面の病気辞典
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発生の多い順にメラノーマ、扁平上皮癌、そして線維肉腫となっています。

棘細胞性エナメル上皮腫は良性腫瘍に分類されますが、顎骨に浸潤することも多くあるためここでは悪性腫瘍の分類に含めています。

メラノーマ扁平上皮癌線維肉腫棘細胞性エナメル上皮腫
発生頻度30-40%20-30%10-20%5%
好発平均11-12歳 小型犬平均9歳 平均7歳 大型犬
リンパ節転移多いまれ (扁桃の扁平上皮癌は高率に転移)時々なし
肺転移多いまれ時々なし
見た目多くが黒色で柔らかく脆いカリフラワー様硬く扁平状表面は潰瘍状
外科手術成績
局所再発率0-60%0-50%30-60%0-10%
生存期間中央値5-17ヶ月9-26ヶ月10-12ヶ月28-64ヶ月
1年生存率20-35%57-91%20-50%72-100%
放射線への反応良好良好不良優良
生存期間中央値4-12ヶ月16-36ヶ月7-26ヶ月37ヶ月
1年生存率35-70%72%76%85%

補足…

どの腫瘍も根治(病気を根本から完全に治す事)を望むのであれば外科手術が必要となります。

上記の腫瘍は全て顎の骨に浸潤するため外科手術は顎の骨を含めた切除となります。

治療の成功率は下記のような要因によって変わります。

・執刀する獣医の経験、知識、技術

・腫瘍の進行状況(局所でのサイズ、リンパ節への転移の有無)

・腫瘍の位置(上顎or下顎/鼻先or口の奥/頬or舌側)

・補助療法の有無(抗がん剤、放射線治療、免疫療法、サプリメントetc)

メラノーマの中には良性の挙動をとるものがあるため全てが悪性とは限りません。

扁平上皮癌や線維肉腫は若齢で発生する事もあります。

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