犬 トイプ―ドル 15歳 オス
主訴
食べ物がうまく飲み込めず、口を気にしてる、よだれが多いといことでかかりつけの病院さまからご紹介いただ来院されました。
診察時に右下のあごの腫れが重度で下あごが右側に変位していました。
レントゲンで下顎の骨が広範囲に吸収を受けている所見が確認され、腫瘍を疑いました。
腫瘍の可能性が高く、腫れは右だけでなく左側にも及んでいる状況でした。
右の下あごの腫瘤に接するように下あごのリンパ節の腫大も認められました。
飼い主さまには、かなり進行した腫瘍の可能性があるとお伝えしました。
胃瘻チューブの設置も前提に全身麻酔下での精査を提案させていただき同意を得ました。
手術
上顎の犬歯と第四前臼歯は歯肉の退縮が認められました。
しかしポケットの形成がほぼ認められませんでした。
歯周病が進行して動揺している切歯や舌炎を起こしていた左下あごの第一後臼歯など、今後の口腔環境の悪化による感染症のリスクが高い歯は抜歯をしました。
また、感染症や痛みのリスクを考え、右下のあごの骨を除去しました。
処置後は胃瘻チューブの設置を内視鏡下にて行いました。
経過
処置と鎮痛剤の使用による影響か少しよだれが減って穏やかな様子が見られるという事でした。
一般状態は良好で、ご飯は口から食べたそうにする様子があるそうです。
しかし、ほとんど自分の口から食べれず胃瘻チューブからの栄養に頼っているとお話しされていました。
今後は体重の増加や体力の回復が認められた時点で、
抗がん剤の使用や放射線治療になども検討しましょうと飼い主様にはお伝えしました。