犬猫の歯周組織再生治療の適応と治療成績について

様々な検査と治療方法
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歯周組織再生治療って何?

歯周病によって失われてしまった歯槽骨を再生させる治療のことです。

※歯槽骨…歯を支えている顎の骨のこと


歯周組織を再生させるために、人工骨や骨補填剤、エムドゲインやリグロスのような液状の歯周組織再生剤、メンブレンという人工膜等を使用し、治療を行います。

※エムドゲインとはブタの歯胚より抽出されたアメロジェニンというたんぱく質が主成分となっています。アメロジェニンは歯の周りの組織を作る過程で分泌される成分で、歯周組織を形成するのに重要な役割を果たします。この液体を使用する事で失われた骨の回復が行われることから世界中で最も多く使用されいてる再生材料となります。

※リグロス…FGF-2という成長因子を主成分として製造・販売された再生剤で2016年に日本で開発された医薬品。

再生治療の適応範囲は?

どの様な歯の状況でも再生治療が可能という事ではありません。
適応範囲は限られています。

適応かどうかは歯科レントゲン検査や歯周検査による十分な検査をした上で決定する必要があります。
一般的に中程度の歯周病が適応となり、グラつきが強い歯のような重度の歯周病の歯では治療成績が低いため推奨されません。

治療の成績について

成功率を左右する大きなポイントが3つあります💡

わかりやすく土に種をまく事に例えて説明させていただきます。

・歯周病の状態である患者の状態(土壌の状態)
→歯槽骨を再生させるためには最低限一定の骨が必要になります。
これは土の無い所に種をまいても花が育たないのと一緒です。
また歯ぐきの状況やどの位置にどの程度の骨の欠損があるのかという事も重要です。

・再生材料の選択(土壌や気候に合った種の選び方)
様々な種類の再生材料がある中で適切な材料(種)を選ばないと最大限の治療効果を得る事はできません。

・高度な技術を施す術者の知識と技術(土壌改良や種のまき方やコツ)
→再生治療はとても難しい治療であるため、術者は歯科治療に精通している必要があり、かつ豊富な治療経験を持っている必要があります。
これが一番重要と言っても過言ではありません。
どのような種も適切な土壌に耕して適切にまかなければ発芽しないのと一緒です。

これらの条件が合致した場合、最適な治療となり、治療成績が高くなります。
むしろ、これらの条件が一つでも合わなかった場合は花も咲かず、治療が無駄になってしまいます。

治療が成功したら?

歯周ポケットが大きく減少する事になることで歯磨きがしやすくなり、歯周病になりにくい状態になります。
この結果、他の健康な歯と同様、飼い主さまのケア次第では炎症を起こしていない綺麗な状態を維持する事が可能となります。(下記1例;犬種 チワワ)

肉眼写真・歯科レントゲン写真

【治療時】

【4か月後】

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