上顎扁平上皮癌

症例紹介・犬
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犬 ウェルシュコーギー 13歳 避妊雌

主訴

4か月前から歯磨きを嫌がるようになり、1か月前から右上顎の犬歯の付け根に血豆のようなできものができ、マズルも腫れたという主訴で来院されました。

所見

右鼻梁部の腫大が認められました。

上顎扁平上皮癌 治療前

犬歯の付け根には飼い主のお話しされていた血豆のような病変も認められました。そしてかかりつけではこの部位の組織検査を行っており“慢性炎症”と診断されています。

犬 口腔内 炎症

この状況では上顎にできた腫瘍の可能性も否定できないのでCT検査と組織検査を行いました。

検査

〇 CT検査

・右上顎犬歯~第2前臼歯にかけて歯槽骨および上顎骨の融解、骨増生を認める。

・鼻腔内にも腫瘍の浸潤が疑われる

〇 組織検査(犬歯の付け根の腫れた骨ごと一部切除) 扁平上皮癌

上記の検査結果から骨中心性扁平上皮癌と診断しました。

このタイプは病変の骨をしっかり摘出すれば予後が良好の為、それほど大きな切除が無いため飼い主には術後の外貌はそれほど変わらない事、食事も問題なく食べれることを説明したところ手術を希望されました。

治療

全身麻酔下にて右上顎の右上顎第二切歯(前歯)から右上顎第三前臼歯(奥歯)まで腫瘍を含め完全に切除しました。

摘出した骨は多くの部位で扁平上皮癌に置換され鼻腔内にも腫瘍の一部で浸潤が認められました。

腫瘍 顎骨切除

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上顎扁平上皮癌 犬 治療
上顎扁平上皮癌 切除部位
切除した部位

病理検査の結果、扁平上皮癌と診断されました。

上顎扁平上皮癌 病理検査
経過

1か月後の検診では食欲もあり口を気にしている様子もなく経過良好です。

上顎扁平上皮癌を切除した部位も問題ありません。

上顎扁平上皮癌 切除後 経過
1か月後

4か月後の検診では食欲、元気ともに問題なく、歯肉の炎症もなく手術部位の再発兆候はありませんでした。

上顎扁平上皮癌 切除後経過
4か月

その後、術後1年6か月経過した現在も再発や転移もなく経過良好です。

このような顔の腫れを発見した際は早めにご相談ください。

悪性腫瘍の場合は早期発見が大切です💡

扁平上皮癌についての詳しい説明はこちら

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