チワワ 16歳1か月 避妊雌
主訴
かかりつけの病院で2週間前に歯肉腫瘤を切除したが、すぐに再発してしまったため当院に来院されました。
所見
見た目では右上顎の犬歯が無く、その位置から尾側に広がる歯肉腫瘤を認めました。

検査
他院での病理検査の結果、腺癌と診断されていました。

レントゲン検査では肺の転移所見もなく、所属リンパ節である頚部のリンパ節の腫れも認められませんでした。
治療
飼い主さまには、拡大切除や放射線治療を提案しましたが、高齢である事と一度手術で
再発している事から手術に消極的になっており、内科治療を希望されました。
このタイプの腫瘍は抗がん剤の効果が期待できないため、なるべく副作用の少ないお薬を
使いながら経過を見る事になりました。
処方した抗腫瘍効果の期待できる消炎鎮痛剤と癌特有の分子だけに効果を示す分子標的薬は
併用する事で副作用が少なく腫瘍の進行が抑えられる事を期待して使用しています。
経過
消炎鎮痛剤のおかげか、内服をし始めてから腫瘍があることを忘れるくらい元気に過ごせました。
〇初診から20日後の写真です、腫瘍は少し増大しています。

〇初診から約1か月半後の検診時にくしゃみ、鼻水が認められるようになりました。徐々に増大が認められています。

〇初診から4か月半後、下顎リンパ節が徐々に大きくなり、鼻が詰まる様子があり、呼吸が少し苦しくなってきました。食欲が少し落ちたため好きなものを中心に与えるようにしていました。

〇初診から約10か月後、1週間ほど前から寝たきりになり、ご飯もさらに食べにくくなり、最期は徐々に呼吸が浅くなり眠るように亡くなったとご連絡をいただきました。

腫瘍がかなり大きくなってからは壊死した腫瘍の臭いが辛いという事もありましたが、一緒に闘病生活を頑張れたことに飼い主さまは満足されていました。
悪性腫瘍の場合、一般的に思い浮かべる治療は外科手術や抗がん剤が多いと思います。
しかし、様々な治療の選択肢の中から飼い主様と相談し最適な治療を探していきます。
腺癌にも種類があります、他の腺癌症例はこちら