犬 チワワ 12歳9か月 去勢雄
主訴
当院かかりつけの患者様で3週間前からご飯を食べるスピードが落ちているのが気になるということで来院されました。
所見
診察の際、口腔内を観察して舌を触診したところ舌根部に舌内腫瘤が認められました。
頚部リンパ節の腫れもなく胸部レントゲン検査では肺への転移病巣などの異常所見は認められませんでした。
検査
全身麻酔をかけて口腔内の観察をしたところ扁桃腺の腫れはなく、腫瘤は舌の根元部分、左側から正中を超えて右側にも広がっていて、大きさは16×20×12mmでした。
腫れた部位の組織を採取し、病理検査に提出しました。
病理検査の結果、脂肪肉腫と診断されました。
手術
病理検査結果より、悪性腫瘍である事から根治を目指すのであれば舌を全て摘出する必要がある事をお伝えしました。
手術によって腫瘍を完全に切除しご飯が食べられるようになれば腫瘍が原因で亡くなる事はなくなりますが、食事には飼い主のサポートが必須となり、誤嚥性肺炎のリスクもある事をお伝えしたところ手術を希望されました。
手術は舌全摘出術となりました。
術後はしばらくご飯が食べられない可能性が高かったため経食道カテーテル設置し3泊4日の入院にて経過観察しました。術創の離開もなく経過良好であったことから退院となりました。
経過
術後2週間で、飼い主がシリンジでお水を飲むことができるようになり、ドライフードを口の中に入れてあげればご飯も食べる事ができる状況まで回復しました。
その後も飼い主さまの愛情あるサポートを受け、手術から2年3か月後、再発もなく慢性腎臓病で永眠しました。