歯が折れた!破折(Part1 抜髄編)

症例紹介・犬
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犬と猫の破折は原因が違う!?

犬もネ猫も歯が折れる事が比較的良くあります。

ワンちゃんは硬いものを噛んで奥歯(第4前臼歯)が折れ、ネコちゃんは落下など外傷によって上あごの犬歯が折れることがほとんどです。

そして、歯が折れて中の神経まで露出してしまうと、痛みが出ます。(露髄)

若い子ほど歯が折れた時に露髄するリスクが高く、それに伴う感染症(根尖膿瘍)のリスクも高くなります。

治療方法は抜髄(歯内治療)が適応となります。

必要のない歯は無いので、残せる歯はなるべく残してあげたいと考えます。

以下の理由より抜歯の方がいい場合もあります。

・もうすでに歯の根っこに感染が起こっている場合*1
・縦に深く折れてしまった場合
・残った歯質が少なく歯の本来の機能の回復が望めない場合
・残した歯が折れる可能性が高い場合
・高齢で神経の治療が困難な場合
・すでに歯周病になっていて歯の寿命が短い場合
*1感染が起こっていても複数回の治療を行うことで歯を温存する事も可能。

歯内治療 症例:5歳 ラブラドール

主訴

牛皮を巻いたガムを食べて歯が折れた(破折)ということで当院に来院されました。

飼い主さまの希望により歯を残す治療を行いました。

手術

全身麻酔下で口のクリーニングを行い、綺麗になった状態で治療を行います。

歯科レントゲンを撮影します。

歯の根っこの感染が無い事を確認します。

神経が露出していたので、細菌が歯の中に侵入し血管や神経に感染をしています。

そして、感染の温床になる物を全てファイル(黄色の器具)で除去します。

3本の歯根があるので、それぞれにアプローチして全て綺麗に切削、洗浄します。

歯の中が綺麗になったら、殺菌剤のビタペックスという黄色い物を注入します。

穴から感染を起こさないようにガッタパーチャーという樹脂を隙間なく詰めます。

そして、全て詰め終わったら、コンポジットレジンを用いて穴を修復します。(歯冠修復)

治療終了後の肉眼写真とレントゲン写真はコチラです。

全ての根っこに綺麗に樹脂が充填(根管充填)されているのがわかりますでしょうか?

さらに、表面には蓋をしていますので、細菌や唾液が侵入しないようになりました。

これで痛みもなく今まで通り美味しくご飯が食べれるようになります。

飼い主さまは今まで与えていた硬いガムを全て捨てて、歯磨きを頑張っています!

歯を折らないようにするには?

蹄や角、プラスチック製の噛むおもちゃなどは絶対に与えないようにしてください。

ちなみに、アメリカの食品医薬品局(FDA)は骨は決して安全ではなく深刻な問題をもたらすことがあると警鐘を鳴らしています。

”歯が折れてしまったら抜歯”

ではなく、歯を残してあげる事も治療の選択肢の一つとして検討してみてはいかがですか?

歯折(Part2 断髄編)こちらもお読みください。

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