犬と猫の歯磨きはなぜ必要?
普段診察していると下のような質問をされる事があります。
・昔は歯磨きなんてしてなかったのに必要なの?
・犬猫だし口臭があって当然でしょ?
・ご飯も食べれてるし痛くないよね?
飼い主さまが犬や猫と同じ状況になった事を想像してみてください。そうすればおのずと答えは出ると思います。
このページでは臨床の現場で歯磨きをしなかった事で可哀そうな思いをした犬と猫を沢山見てきた経験を踏まえて解説します。
歯磨きをしないとどうなるか、嫌がるからと歯磨きを諦めてしまうとどうなるのか、少しでも考える機会となれば幸いです。
歯磨きをしないと歯周病になる
人もペットも同じように口の中には細菌がいます。
その細菌は時間とともに歯垢という塊をつくります。それが歯を支える歯周組織に炎症を起こします。この状況を歯周病と言います。
歯周病になると、口臭がでて、歯茎が腫れ、血が出るようになります。
人間はそうならないように予防として歯磨きをします。
以下の写真をご覧ください。人では汚いお口を見たら不健康だから歯医者さんに行ったほうがいいとアドバイスをすると思います。
犬も猫も人と同じ動物です。
進行の程度は個体差があるもののどの子でも必ず問題になります。
歯周病は悪くなると元の状況は戻りませんので重度に進行すると抜歯以外の治療方法はありません。
人と同じように全身疾患との関連も最近の研究で明らかになっています。(肺炎、糖尿病、心臓病など)
定期的な歯磨きで他の異常に気付く
日頃から口の中を観察できていれば小さな変化にも気づくことが出来ます。
できものや歯石がいつからあったか分からない、という事が無いようにしましょう!
口の中のできもの(腫瘍)
発見が早ければ切除して完治する可能性がありますが、発見が遅くなると治療が複雑になるだけではなく命に関わる場合があります。
歯が折れている(破折)
アキレス腱やヒマラヤチーズなど硬いものを与えていて歯が折れていることはよくあり、気づかないで放置されると顔が腫れて膿が出る事もあります。
むし歯(う蝕)
人では歯周病に次いで多い虫歯。犬でも発生は少ないですが歯の治療をしていると偶発的に見つかる事があります。
重度歯周病では歯も口も痛い
ここはとても重要な問題です。
実は犬と猫はご飯食べているから痛くないというわけではありません。
実は相当痛くない限りはご飯を食べます。そこまでになっていなくてもご飯を少し残したり食べるスピードが落ちたりする事はあります。
ですが、徐々に進んでいくため歳のせいだと勘違いしたりしているケースが少なくありません。実際、歯周病が中程度以上進行している子で治療後に元気になった、表情が明るくなった、ご飯を快適に食べるようになったという事も多く聞かれます。
犬猫の歯磨き、予防歯科が大切!
上記のような問題は予防や早期発見が重要です。
本当に酷い状態で気づいて後悔する飼い主さまを沢山見てきています。
犬や猫も人と同じ予防歯科の観点でケアをしましょう。
歯周病が認められたらまずは全身麻酔をかけて治療することが大切です。歯科治療に精通した動物病院の診察を受けるようにしましょう。