ミックス猫 13歳 オス
主訴
2か月前に歯科治療をした際は問題なく、術後も出血などなかったが最近になってごはんに血が付くことがあり、歯茎が盛り上がって来たことが気になり来院されました。
所見
診察時に上顎の歯茎が赤く広がっている様子が確認できました。

この時点で下顎の残っている歯が当たって炎症が起きたものと思われ、一旦抗生剤で経過を見ることになりましたが、良化しない場合腫瘍の可能性もあるとお伝えしました。
検査
抗生剤が効果を示さなかった為、腫瘍を疑い全身麻酔下でパンチ生検を行いました。

パンチ生検…生検トレパンという円形の刃がついた専用の器具(写真左側の緑の器具)で腫瘍組織の一部や皮膚を切り取り病理組織検査へ提出し検査します。
採取した組織を病理検査に提出したところ扁平上皮癌と診断されました。

治療
パンチ生検をした際に腫瘍に当たって炎症の原因になる対合歯を抜歯しました。

飼い主さまは顔面が変形してしまうような外科手術は望んでおらず、なるべく痛み減らし普段の生活ができることを望まれていました。
経過
腫瘍に当たっていた対合歯を抜歯したため歯茎の炎症は良化していました。
しかし腫瘍の部分が痛むのかごはんが食べずらくなってしまったためレペタン(鎮痛剤)を処方しました。
これ以上の外科手術はせずに鎮痛剤とサプリメントで経過を見ることになりました。
今後は分子標的薬も検討し、かかりつけの病院で治療を継続していくことになりました。
分子標的薬…細胞増殖や浸潤、転移などに関与する「分子をターゲット」としてその制御を目的として開発された薬です。今までの抗がん剤と違い、腫瘍細胞だけに効いてくれますので、通常の抗がん剤よりは副作用が少ないです。
口腔内扁平上皮癌に対する様々な治療を併用しても、1年生存率は10%以下です。
腫瘍が小さいうちなら完治も望め、上顎より下顎のほうが予後が良いとされています。
猫のお口を毎日チェックするのは難しいと思いますが、腫瘍は早期発見が大切です。
扁平上皮癌の詳しい解説はこちら







