歯周外科治療 part1 歯肉切除術

症例紹介・犬
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歯周外科治療ってなに?

今回のテーマは歯周外科という事で少し難しい内容になります。

しかし、愛犬や愛猫の歯周病治療について考えるときにヒントになる事もあるかと思います。

まずは、下の写真をご覧ください。

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写真を見て歯周病だとわかる方は沢山いらっしゃると思います。

そして、治療方法が「歯石除去」「抜歯」だけだと思っている方も多いのではないですか?

残した歯が健康な状態をより長い間維持できるようにする治療があります。

それを「歯周外科治療」と言い、目に見えない歯根の歯垢や歯石を除去し、歯肉や歯槽骨の形態を整えて歯周病になりにくい状態にする治療の事を指します。

処置する人は下記に挙げる主な歯周外科治療のどれが最適か考えながら治療にあたります。

そのため、専門的な知識と手技が要求されることになります。

1.歯肉切除

2.歯肉剥離掻把術(FOP;Flap operation)

3.歯肉弁根尖側移動術(APF;Apically Positioned Flap)

4.骨外科(骨整形、骨切除)

5.歯周組織再生療法

などが挙げられます。

その中の歯肉切除という治療方法を例に挙げて紹介させていただきます。

歯肉切除とはその名前の通り歯茎を切る処置の事で、歯周炎になって形成された深いポケットを除去する目的で行われます。

歯周外科治療の中でも最も簡単で基本的な治療となります。

症例:6歳 ヨークシャーテリア

飼い主さまは歯磨きを頑張っていらっしゃる方で歯周検査の結果、歯の状況もそれほど悪くなく抜歯する必要はありませんでした。

しかし、歯周病で歯肉が腫れてしまいポケットの深さが最大で4mmもあり通常の歯石除去ではポケット内の歯石を取り残す恐れが高く、治療後にも深いポケットが残ることで炎症を起こしやすい状況になっている状況なためただ残すだけでなく、歯周外科治療をすることになりました。

(正常なポケットは1㎜程度)

この場合、正常な歯肉は十分にあるので、異常に腫れた歯肉だけを切除します。

そして、ポケット内の歯石を確実に除去します。

術後のポケットが減少する事によって歯周病になりにくい状況にします。

歯肉切除が適応となる典型的な状況です。

処置後には過剰な歯肉に埋もれていた歯冠表面がきれいに認められます。

そして3週間後の写真がこちらです。

歯肉の炎症は治まり歯肉はなだらかに歯面に付着するような健康的な状況です。

どの様な治療が適切なのかを考えながら1本1本治療を行います。

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