歯肉弁根尖側移動術 歯周外科治療 Part2

歯周外科治療
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歯周外科治療 part1 歯肉切除術

こちらからお読みください☝

歯肉弁根尖側移動術ってなに?

今回のテーマは前回に引き続き、歯周外科治療についてお話をしたいと思います。

前回お話させていただいた主な歯周外科治療方法の中で、今回は

1.歯肉切除

2.歯肉剥離掻把術(FOP;Flap operation)

3.歯肉弁根尖側移動術(APF;Apically Positioned Flap)

4.骨外科(骨整形、骨切除)

5.歯周組織再生療法

太文字で書いた3と4を併用して治療した猫ちゃんのご紹介をさせていただきます。

3の歯肉弁根尖側移動術と難しく書いてありますが、簡単に言うと、、、

「歯周病で歯周ポケットが深くなってしまった歯の歯肉をはがして、ポケット内の汚れを確実に除去した後、ポケットが浅くなるようにはがした歯肉の縫う位置を調整する」処置の事を言います。

4の骨外科というのは、歯周炎で凸凹してしまった歯槽骨(歯を支えているあごの骨)を平坦に整える事で歯周病になりにくい状態を作ることを言います。

通常、3の処置の時には4の処置が一緒に行われることが多いです。

これらの処置の利点というのは何よりも直接歯根の表面についている歯垢や歯石を目で見て確実に除去して、再度歯周病になりにくい歯周組織の形態を作ることができるという事です。

歯肉弁根尖側移動術症例:9歳 雑種猫 (他院紹介)

所見

部分的に歯周病が進行しており、歯科用レントゲンを撮影すると抜歯しなければならないくらい歯周病が重度に進行している歯も認められます。

治療

その中で、左上顎犬歯は歯肉の腫れが重度に認められ、歯科用レントゲンでは歯槽骨の腫れと不整が認められ、ポケットが4mmと深い状況があったことから、通常の処置では腫れが治まらず、また炎症が再発する可能性が高いと判断し、歯周外科手術を行いました。

歯周外科治療 猫 犬歯

処置の写真(スケーリング後)

歯周外科治療 猫 犬歯

(歯肉切開後)

歯周外科治療 猫 犬歯

(骨整形、歯肉縫合後)

歯周外科治療 猫 犬歯
歯周外科治療 猫 犬歯

(骨整形前後の歯科用レントゲン像)

歯周外科治療 猫 犬歯 レントゲン
歯周外科治療 猫 犬歯 レントゲン
経過
歯周外科治療 猫 犬歯 治療後
歯周外科治療 猫 犬歯 治療後

猫ちゃんの上顎犬歯に比較的よく起こる病態で炎症性骨腫大と言われる状況です。

重度に進行してしまうと抜歯しか治療方法はなくなってしまいます。

しかし、今回はまだ歯周外科で温存する事が可能な状況でした。

歯周ポケットが深く、奥の歯石を取り残す可能性が高い為歯肉を切開し歯垢、歯石除去します。

骨の形状が不整だったため、骨整形をしないとポケットの減少は望めない状況です。

処置から2週間後の写真では骨や歯肉の腫れもなくなりました。

なだらかに歯に付着する健康的な歯肉が認められ、ポケットも減少し経過良好です。

処置後は他の歯と同様に歯磨きで十分に長期的管理が可能な状態に改善しました。

どの様な治療が適切なのかを考えながら1本1本治療を行います。

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