無麻酔歯石除去①②③をお読みの上こちらをご覧ください。
無麻酔歯石除去とは?① 無麻酔歯石除去の実際② 無麻酔歯石除去のリスク③
以前に無麻酔歯石除去の経験があり、その後当院で歯科処置をした症例をご紹介します。
それぞれの特徴
症例①
表面の歯石を除去しているため見た目は問題なく見えるのに歯科レントゲン検査やプロービングで重度の歯周病が確認されたケース
症例②
明らかに重度の歯周病が認められ獣医療の介入が必要な状況にも関わらず目に見える歯石を除去していたケース
症例③
定期的な無麻酔歯石除去を受けていた若齢の犬に起こった重度の歯周病
症例④
外側は綺麗に見えるが裏側の歯周病が進行しているケース
①10歳 トイプードル
口臭がきつい、出血するという主訴でかかりつけの病院さまからご紹介いただきました。
まず、飼い主さまが提供してくださった無麻酔歯石除去の時の写真になります。
無麻酔処置前
処置後
表面上に見える歯石は除去されていますが、歯肉は赤く、歯肉も下がってしまったままです。
無麻酔では歯周ポケットの中の歯石は除去できないため歯周病の治療にはなっていません。
<当院での歯科処置>
処置前
レントゲンを撮ってみると、重度に歯周病は進んでおり計20本の抜歯になりました。
処置後
残った歯を今後も綺麗に維持していくために、診察時や処置後に歯磨き指導をいたします。
家での定期的なデンタルケアが大切です。
② 11歳 トイプードル
歯がぐらつく、口臭が強い、口から出血するとの主訴で来院されました。
無麻酔歯石除去を何回か経験しており、表面上は大きな歯石が付いているわけでもなく綺麗です。
しかし、初診の時点でぐらついている歯や、歯根部が見えている歯がありました。
処置後、残ったのは犬歯と切歯で、計20本の抜歯がありました。
レントゲンを撮影してみると、外に見えない部分で歯周病がかなり進行してしまっていました。
③ 3歳 マルチーズ
生後半年ころから計3回の無麻酔歯石除去を経験しているわんちゃんです。
歯並びが悪く、歯石が付きやすい、口臭が強いという主訴で来院されました。
手術前
術後
今回の処置では8本の抜歯がありました。
幼少期から無麻酔の歯石除去をしていなかったら、こんなにも歯周病が進行することはなかったかもしれません。
歯磨きは少しはできているということですが、2週間後検診でわずかに歯石がついてきていたので再度磨き方を説明いたしました。
④ 9歳 トイプードル
口を痛がり、口腔内いはいくつかの潰瘍が認められました。
3回の無麻酔歯石除去の経験があるわんちゃんです。
<処置前>
<処置後>
無麻酔歯石除去の影響なのか裏側の歯石が外側に比べ多く蓄積していました。
まとめ
どの症例も無麻酔歯石除去を行っていた犬によくある事です。
もちろん全ての犬に当てはまる事ではありませんし、施術者にもよると思いますが、犬の今の状況の良し悪しを飼い主さまが判断する事が難しく、このような状況になってしまった場合には何より犬が可哀想な思いをする事になります。
さらに、良かれと思って受けていたのに全身麻酔をかけてちゃんと見てみたら思ってた以上に歯の状況が悪かったため、何のために定期的に行っていたのか、とてもショックを受ける飼い主さまがいらっしゃいます。
これらの症例を見て 無麻酔歯石除去をやりたいと思いますか。
無麻酔で歯石除去を受けている症例では特に、歯科レントゲンを撮影できる動物病院でなければ正確に診断できませんので、早めの受診をお勧めいたします。