右上顎 メラノーマ(悪性黒色腫)

症例紹介・犬
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犬 ミニチュアダックスフンド 15歳 避妊雌

主訴

・口を痛そうにして
・鼻汁、くしゃみが多いいる
・4年前に歯科治療をしたがその後自然と歯が抜けた
・3年前頃から口を気にする

という主訴で当院に来院されました。

所見

口腔内は重度の歯周病を罹患しており、左上顎の犬歯は口腔鼻腔瘻になっていました。

動揺している歯も多く全抜歯になると思われます。

検査

歯科処置の際に右上顎にできものを確認したため採材し検査に出しました。

右上顎の腫瘍から採材した組織を病理検査に提出し、メラノーマ(悪性黒色腫)と診断されました。

治療

全身麻酔下にて右上顎の腫瘍を切除いたしました。

病理検査の結果から低悪性度のメラノーマ(悪性黒色腫)と診断されたことから、以下のような手術内容でなるべく負担の少なく、確実に切除できる治療方法を計画しました。

・軟部組織のマージンは1㎝
・眼窩下静脈などを温存するために吻側の粘膜下組織は0.5㎝でマージンを確保
・上顎骨はマージンを0.5㎝強確保
切除した腫瘍

飼い主様に、術後はエリザベスカラーの着用をお願いしています。

摘出した組織は十分に余裕をもって切除できていると診断されましたので、予後は良好と考えられます。

経過

手術時に鼻につながる骨も一部切除しているため、2日後の検診ではくしゃみをすると少量の鼻血が出るとの事でしたが、2週間後の検診の際にくしゃみ、鼻血、鼻汁は消失していました。

切除した骨も少ないため、見た目はほぼ変わらず、ご飯も問題なく食べれています。

1か月検診

その後も経過は良好で、1年半後の検診でも肺転移は確認されず、口腔内の再発もないため検診終了となりました。

今回のメラノーマは低悪性度のものでしたのでこの期間経過観察ができれば完治と判断できますが、通常のメラノーマは数年後に再発や転移をすることがあるため、手術後からしっかり検診を行い、他の腫瘍に比べて長期的に経過を観察する事が重要と考えられます。

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