若年性歯周炎の症例

症例報告
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1歳 ミックス猫

犬歯、臼歯の歯肉炎を主訴として来院されました。

診察時の所見としては、下あごの犬歯を除くすべての歯で重度の歯肉の炎症が認められ、下あごの切歯は歯周病によって全て抜け落ちていました。

歯科レントゲンでは下あごの第一前臼歯、上あごの第一、二前臼歯で歯周炎による歯槽骨の吸収も認めました。

1歳という年齢から若年性歯周炎の可能性が強く疑われました。

この病気は人にも存在し、原因が不明で一般的な治療では治らない稀な病気として知られています。

また、自宅で歯磨きをすると出血し痛いのかブラッシングも難しいとお話をされていました。

<処置前>

歯周病治療の基本として歯のクリーニングをする事で細菌数を減らせば歯肉の炎症は改善が認められますが、このように不整になった歯肉の形態は元に戻る事はなく健康な歯肉(歯周組織)に戻る事はありません。つまり、健康な歯を磨く以上に細菌が溜まりやすい状態の歯は炎症をコントロールする事は難しくなります。

もし、徹底した歯磨きによって口腔内の細菌量を減らすことができなければ、全身麻酔をかけて治療をしてもほんの一時的なケアにしかなりません。

その他の治療でも有効的な治療は期待できず、進行を阻止する事が難しくやがて全ての歯が抜け落ちてしまいます。

これらから年齢的に残念ではありますが、明らかな歯肉の炎症が起こっていない下あご犬歯以外全ての歯を抜歯することになりました。

<処置後>

2週間後の検診の際には、抜歯した部分の炎症は無くなっており、残った犬歯の歯磨きを飼い主さまが頑張るとおっしゃっていました。

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