猫もなる!メラノーマ(悪性黒色腫)

口腔内腫瘍
Pocket

メインクーン 15歳 オス

主訴

前日の夜に首の方にしこりがあることに気付いたという事で当院に来院されました。

メラノーマ リンパ節転移
検査・所見

触診とエコー検査で左下顎リンパ節の腫れを確認しました。

また、同側の口腔内をチェックすると左上顎第四前臼歯(奥歯)の頬粘膜に黒い色のしこりが認められました。

猫 メラノーマ 口腔内
猫のメラノーマ 口腔内

どちらも細い針で刺して、針先に入ってきた細胞をスライドガラスに吹き付けてみると、茶褐色のものが採取されました。

メラノーマ 採取

顕微鏡で確認すると黒いメラニン色素を豊富に含んだ細胞とリンパ球が多数認められました。

以上の結果より、メラノーマ(悪性黒色腫)と下顎リンパ節転移と診断しました。

治療方針

猫のメラノーマの発生は極めて稀で、かつ予後が悪い事が知られています。

この症例でも口の中の腫瘍がまだ小さいのですが、転移した下顎リンパ節はすでに原発巣よりも大きくなっており病状の進行が認められました。

原発巣に対して手術や放射線治療を行っても全身に転移した病巣に効果がなく、抗がん剤治療の効果も不確実であることを飼い主さまにお伝えしたところ、なるべく自然の状況で寿命を全うさせたいという事で免疫を上げるサプリメントの処方だけ行う事となりました。

その後約2ヶ月ほどで寿命を全うしました。

このようにすべての症例で外科手術が適用になるわけではありません。

すでに遠隔転移している場合は、積極的な治療が不適応となる事があります。

その場合、痛みの緩和や腫瘍の進行を遅らせる治療が選択され、分子標的薬、鎮痛剤、サプリメント、免疫療法、疼痛緩和を目的とした放射線治療を行います。

メラノーマは口の中にできる悪性腫瘍の中で最も多く認められます。局所浸潤性が強く、肺やリンパ節などへの転移の多い腫瘍です。

腫瘍の場所や大きさ、悪性度で寿命は大きく変わるので早期発見が大切です。

歯磨きをして口の中を観察する習慣をつけましょう!

口腔内メラノーマの余命など詳しい説明はこちらを参考にしてください。

気になる症状がありましたらご相談ください。

タイトルとURLをコピーしました