症例①MIX猫 14歳 扁平上皮癌
主訴
健康診断の時に左上顎の歯ぐきの腫れを指摘され当院に紹介来院されました。
検査
全身麻酔をかけて歯科用レントゲン撮影と組織を一部切除し病理検査に提出しました。
さらに、病変がどこまで進展しているかを確認するためにCT撮影を行う事となりました。
レントゲン検査では左上顎の犬歯周囲の骨が広範囲に渡って破壊されていました。
組織検査では扁平上皮癌と診断。
CT検査の結果、腫瘍は左上顎の骨をかなり広範囲に破壊し、鼻の中に充満し左目を圧迫し、嗅球と呼ばれる脳の領域に浸潤が認められました。
治療
CTの結果から腫瘍がかなり進んでいる事が判明した為、外科手術適応外。
この子は免疫を上げるサプリメントの内服に加え、食欲が落ちている時など痛みを感じている様子があった場合には消炎鎮痛剤を内服することになりました。
症例②メインクーン 15歳 口腔内メラノーマ
主訴
首の方にしこりがあるという事で来院。
検査・所見
腫れているしこりを針で刺して細胞診を行いました。
黒いメラニン色素を豊富に含んだ細胞とリンパ球が多数認められた事によりメラノーマの下顎リンパ節転移と考え、口腔内にメラノーマを疑うものが認められました。
全身麻酔をかけて組織を一部切除し、病理検査の結果メラノーマと診断されました。
治療方針
猫のメラノーマはとても予後が悪い事、既にリンパ節に転移している事を飼い主さんにお伝えした結果、サプリメントを与えて寿命を全うしたいという事になりました。
上記の猫ちゃん達は診察より2ヶ月ほどで寿命を全うしました。
早期発見するためには?
この様に、来院時には手術もできないくらい状況が悪いという事は少なくありません。
本来であれば手術をして治りましたというご紹介をしたいのですが、あえて飼い主さんに現実を知っていただくために、紹介させていただきました。
猫ちゃんも歯磨きをしたりして毎日お口の健康に気を使っていただけたら、この様な状況を避ける事も可能です。
猫ちゃんのお口にできたできものは犬に比べ悪性腫瘍が多いという事
ある程度大きくならないと症状に出にくい事などをよくご理解いただきたいと思います。
・ご飯の食べ方が変
・お水を飲む時によく水をこぼしてしまう
・食べるのを躊躇している
などどんな些細なことでも構いません。
異常を感じたら動物病院で診察を受ける様にしましょう!