口腔・顔面の病気辞典

歯周病が重度になったら?

歯周病は口の中にいる細菌が歯を支える歯周組織に炎症を起こす細菌感染症です。 この細菌感染症が重度に進行すると下記のような病気につながります。 内歯瘻(ないしろう)  深い歯周ポケット内の膿が口腔内の粘膜から排出している状態。口臭が強くなりま...
歯周外科治療

歯周外科治療 Part3 フラップ手術 No.015

こちらを先にお読みいただくとわかりやすいです。 歯肉剥離掻把術とは? 今回のテーマは引き続き、歯周外科治療についてお話をしたいと思います。 主な歯周外科治療方法の中で、今回は 1.歯肉切除2.歯肉剥離掻把術(FOP;Flap operati...
破折

歯折(Part2 断髄編)No.014

歯折(Part1 抜髄編)こちらも一緒にお読みください。 歯が折れたことにいつ気付く? 破折に飼い主様が気付くタイミングは、 ・さっきおもちゃで遊んでいたら欠けた・おもちゃを噛んでいて嫌な音がした・口をぶつけて歯の欠片が落ちた・毎日歯磨きを...
歯周外科治療

歯周外科治療 (Part2 歯肉弁根尖側移動術) No.013

歯周外科治療 part1 歯肉切除術 こちらからお読みください☝ 歯肉弁根尖側移動術ってなに? 今回のテーマは前回に引き続き、歯周外科治療についてお話をしたいと思います。 前回お話させていただいた主な歯周外科治療方法の中で、今回は 1.歯肉...
歯周外科治療

歯周外科治療 part1 歯肉切除術 No.012

歯周外科治療ってなに? 今回のテーマは歯周外科という事で少し難しい内容になります。 しかし、愛犬や愛猫の歯周病治療について考えるときにヒントになる事もあるかと思います。 まずは、下の写真をご覧ください。 OLYMPUS DIGITAL CA...
症例紹介・犬

歯削れてる No.011

犬歯などほとんどの歯が短くなってしまっている症例 主訴 歯が削れているという主訴で来院されました。 所見 視診によってまず歯冠の高さが低くなっている事を確認します。 このことを咬耗(こうもう)といいます。 その後、探針(エキスプローラー)と...
口腔内腫瘍

猫の口腔内腫瘍 No.010

猫ちゃんのお口にできたものは犬に比べ悪性腫瘍が多く、ある程度大きくならないと症状に出にくい事などをよくご理解いただきたいと思います。
口腔内腫瘍

犬の口腔内腫瘍 Part2メラノーマ No.009

※注意!このブログ内には手術で切除した組織の写真があります。見られる方のみお読みください! 症例②ミニチュアダックス 17歳 主訴)他院で歯周病と診断されたが、左顎の腫れがどんどん悪化しているという事で、 セカンドオピニオンを希望 検査 注...
口腔・顔面の病気辞典

歯が折れてしまったら?

折れやすい歯は? 犬や猫の歯が折れることを破折といいます。 破折とは? 折れるのは主に上あごの第四前臼歯、犬歯ですが、稀に下あごの第一後臼歯が折れる事もあります。 第四前臼歯は裂肉歯と言って肉食動物である犬が仕留めた獲物の肉を飲み込める大き...
口腔内腫瘍

犬の口腔内腫瘍 Part1棘細胞性エナメル上皮腫 No.008

※注意!このブログ内には手術で切除した組織の写真があります。見られる方のみお読みください! 口腔内腫瘍は部位別発生頻度が第4位! 当院では歯科、口腔内の診察を専門的に行っているため、「口腔内腫瘍」を診断、治療する事が多くあります。 そして、...
乳歯

乳歯が抜けなかったら? No.007

乳歯が抜けないことを乳歯遺残(にゅうしいざん)といいます。 症例①6カ月 ミニチュアシュナウザー 乳歯が抜けず残ってしまった症例をご紹介します。 上顎と下顎の犬歯が遺残しているのがわかります。 (細くて長いのが乳歯で上顎では左側、下顎では手...
症例紹介・犬

歯の色が変?No.006

変色歯とは→変色歯 こちらを参考にしてください。 3歳 トイプードル 所見 歯周病の治療の為全身麻酔をかけて治療をし、下顎の歯に変色が認められました。 歯髄疾患が疑われたため、歯のレントゲンを撮影しました。 左から2番目に写っている歯が変色...
口腔・顔面の病気辞典

顔から膿がでたら、皮膚科?歯科?

歯周病で目の下から膿がでる? 今回のテーマは、比較的良く見かける症状でもある”目の下が腫れている”です。 これは、見た目で大体診断できます。 写真は右の頬が腫れて膿が出た10歳のトイプードルちゃんです。 一見、皮膚に問題があるのかと思います...
先天性疾患

短頭種の噛み合わせ No.005

短頭種は受け口が普通?? シーズー、フレンチブルドッグ、パグなどの短頭種が受け口な場合、異常だと思いますか? ※ 受け口 = 下の前歯が上の前歯より前に出ている状態 下の写真の様に上の前歯が下の前歯に少し覆いかぶさる様になっているのが正常で...
口腔・顔面の病気辞典

口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)

口腔鼻腔ろうのとは上あごの歯に重度の歯周病がおこり歯周ポケット内の細菌が鼻の中まで入り込んでくしゃみや鼻から膿が出るような感染症に進行した状態を指します。 この病気は小型犬の中でも特にミニチュアダックスやイタリアングレーハウンドに多く認めら...
口腔・顔面の病気辞典

犬の口腔内にできる悪性腫瘍

発生の多い順にメラノーマ、扁平上皮癌、そして線維肉腫となっています。 棘細胞性エナメル上皮腫は良性腫瘍に分類されますが、顎骨に浸潤することも多くあるためここでは悪性腫瘍の分類に含めています。 メラノーマ扁平上皮癌線維肉腫棘細胞性エナメル上皮...
口腔・顔面の病気辞典

猫の過蓋咬合

噛み合わせの確認はしましたか? 猫ちゃんをお家に迎え入れたら、永久歯がしっかり生え揃う5ヵ月齢頃に、歯を観察してみましょう! 何故なら、診察していると、上の奥歯が下顎の歯肉を刺してしまっている子が多く見られます。 この猫ちゃんの様に噛み合わ...
歯周病

大型犬の歯科治療 No.004

ボルゾイ 2歳 35kg オス ボルゾイは体高がすごい・・そして大きい・・ 歯科治療台からはみ出てます・・ しかし、いくら大きくても治療は一緒です。ただ、歯もとても大きいです! 全体的に歯石も付いてるし、歯ぐきも腫れているし、上の歯は1本だ...
歯周病

猫の歯周病 No.003

猫ちゃんの歯磨きは少なくとも子猫の頃から慣らさないととても難しく、性格によるものも大きいため、歯磨きができない、もしくは歯磨きをしていない飼い主さまがほとんどです。 5歳 ミックス猫 主訴・所見 今回の症例の猫ちゃんは歯石が付いてきて歯周病...
破折

破折(Part1 抜髄編)No.002

犬と猫の破折は原因が違う!? ワンちゃんもネコちゃんも歯が折れる事が比較的良くあります。 ワンちゃんは硬いものを噛んで奥歯(第4前臼歯)が折れ、ネコちゃんは落下など外傷によって上あごの犬歯が折れることがほとんどです。 そして、歯が折れて中の...
口腔・顔面の病気辞典

歯周病

歯周病とは 歯周病は、口の中にいる細菌が繁殖する事で歯を支える歯周組織に炎症が起こっている状態です。 歯肉の炎症だけの歯肉炎と歯槽骨まで破壊が進行した歯周炎に区別されます。 下図の一番左(健康な歯肉)の絵以外を全て含めて歯周病と言います。 ...
歯周病

子犬の歯周病 No.001

若くても歯周病になる!? 歯周病とは?→歯周病  歯周病は高齢のワンちゃん、ネコちゃんだけの病気ではありません。 若いから歯周病にはならない。・・・ではないんです! 若くても歯磨きをしないと歯周病になるという事をこれからわんちゃんを飼う方は...
犬と猫の歯みがき

成犬の歯磨き4 ~仰向け編~

仰向けでの歯磨きは子供の歯磨きでも推奨されていますが、犬にとってもメリットが沢山あります。 膝の間に挟んで身体が安定しやすい 頭を身体に寄せて固定しやすい のぞき込むことでほぼ全ての歯を見ながら磨くことができる 当院での指導方法 歯ブラシに...
犬と猫の歯みがき

絶対に与えてはいけないオモチャとオヤツ

NGなオモチャ? 実は、ペットショップやペットグッズ売り場には歯にとって良くないものが売られていることをご存知ですか? それは「硬いオモチャやオヤツ」です。 代表的なものを下記に挙げますが、そもそも普通に考えて、愛玩犬に分類されているプード...
犬と猫の歯みがき

歯みがきガムの選び方

歯みがき効果は? 犬猫にとって歯磨きガムは美味しく食べれて歯磨き効果も期待できるとても嬉しいおやつです。 歯磨きの効果はあるの?と質問される事が多くあります。それに対しての答えは「YES」です。ただし、与える物の選び方や与え方に工夫が必要で...
犬と猫の歯みがき

成犬の歯磨きの仕方(慣れさせる方法)

パート1では歯磨きの姿勢など基本的な内容を書きましたが、こちらではより実践的に歯磨きに慣れさせる方法について説明したいと思います。 歯周病予防で大切なのは歯磨きを毎日の習慣にする事! 人と同じで歯磨きは毎日やらないと磨き残した歯垢が歯石にな...
無麻酔歯石除去

無麻酔歯石除去のリスク③

①と②を先にお読みください。 無麻酔歯石除去に伴う事故 無麻酔歯石除去によるトラブルも多くあります。 その中でも訴訟に発展するケースは稀でほとんどが飼い主の泣き寝入りになっているのが現状です。 実際に起こっている代表的な問題を以下に挙げます...
無麻酔歯石除去

無麻酔歯石除去の実際②

無麻酔歯石除去①からお読みください。 実際の様子 インターネットで「無麻酔 歯石除去 犬」と調べてみていただくと沢山の動画が出てきます。 以下、検索結果↓ 無麻酔 歯石除去 犬 - Google 検索 実際に行っている様子はこちらで確認でき...
口腔・顔面の病気辞典

軟口蓋過長症

軟口蓋とは? 軟口蓋(なんこうがい)とは、口腔の上側の硬い天井部分以降の、奥に続く柔らかい部分です。 その軟口蓋が、正常よりも長いことを、軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)といいます。 軟口蓋が長いと、空気の通り道を狭くして、呼吸に...
口腔・顔面の病気辞典

挺出(ていしゅつ)

高齢の猫では歯が挺出して口が閉じれなくなってしまうことがあります。 この疾患は犬で見られることはなく、性別や品種は関係なく猫だけに認められます。 上顎犬歯に多く、下顎犬歯にも認められることがあります。 猫の犬歯が慢性歯周炎に罹患すると歯の挺...
犬と猫の歯みがき

歯磨きジェルの成分による違い

歯磨きジェルの成分による違い 歯周病に効果があり、犬や猫が飲み込んでも安全性が高い成分は限られています。 なので、ジェルを選ぶ際にはどういう目的で作られたジェルなのか、成分名を見て何が入っているのかを確認する事が大切です。 特に、犬や猫では...
口腔・顔面の病気辞典

難治性口内炎(なんちせいこうないえん)

難治性口内炎とは 猫の難治性口内炎は現在、「歯肉口内炎」や「尾側口内炎」(Feline Gingivostomatisis)と定義される猫ちゃん特有の病気であり、QOLを著しく低下させる代表的な疾患です。 この疾患は歯周病で起こる歯肉や歯槽...
口腔・顔面の病気辞典

エプリス

口腔内にできる良性腫瘍の一種で、わんちゃんでは多くみられます。 どの犬種でも起こり得ますが、シニア犬で多く認められます。 エプリスは歯根を支える歯周靭帯から発生します。見た目は正常な歯肉が一部盛り上がって塊を形成しているように見えます。エプ...
口腔・顔面の病気辞典

口蓋裂(こうがいれつ)

口蓋(こうがい)は口の天井部分(舌で触れる上の部分)を指し、鼻との境になる組織です。 口蓋は前後に分かれ、手前の硬い部分を「硬口蓋」、奥の柔らかい部分を「軟口蓋」と呼びます。 その口蓋に穴が空いて口と鼻がつながった状態を口蓋裂と呼びます。 ...
口腔・顔面の病気辞典

虫歯

猫では論文上、虫歯の報告はなく虫歯にならないと考えられています。 犬では虫歯の症例が稀に見られます。犬において”虫歯”になりにくい理由は以下のように考えられています。 〇歯が尖った形状をしている為、歯の表面に虫歯菌が付着しにくい 〇唾液に含...
口腔・顔面の病気辞典

眼窩下膿瘍(がんかかのうよう)

歯の根っこに膿(うみ)が溜まって目の下が腫れる病気です。 上の奥歯(特に第4前臼歯)に重度の歯周病が進行し根っこの方まで細菌感染が広がった場合と歯が折れて中の歯髄から根っこの方まで細菌感染が進行した場合のどちらかが原因となります。 小型犬で...
犬と猫の歯みがき

成犬の歯磨き6 レベルアップの守るべきルール

歯磨きの心構え 犬には歯磨きの仕方を教えるのではなく歯磨きをしている間は大人しくしていてもらう事を伝える工夫をしましょう。 そして、歯磨きをしている間大人しくしてくれている時には協力してくれてありがとうという気持ちで優しく接することが大切で...
犬と猫の歯みがき

成犬の歯磨き5 ~オスワリ・マテ編~

仰向けが難しい子にはこの方法が良いかもしれません。 この歯磨きのメリットは食事の時など普段から行っているコマンドを強化することでできるため比較的行いやすいことです。 しかし、頭を固定するのが難しいため体や顔をそむけてしまうなどやりにくい事が...
口腔・顔面の病気辞典

乳歯遺残(にゅうしいざん)

乳歯遺残とは 乳歯遺残とは生後7ヶ月を過ぎても乳歯が抜けずに残った状態をいいます。ただし、生え変わりの時期には個体差があるため、診断するためには切歯、犬歯、臼歯すべての歯の状況を見て、総合的に評価する必要があります。 乳歯遺残の中でも特にそ...
口腔・顔面の病気辞典

歯の名称と役割

犬では永久歯が42本(乳歯28本) 左右上顎に各々切歯が3本、犬歯が1本、前臼歯が4本、後臼歯が2本存在します。 左右下顎に各々切歯が3本、犬歯1本、前臼歯4本、後臼歯3本存在します。 切歯 口の中に運んだり、物をかじったりする為に必要な歯...