犬の口腔内腫瘍 Part1棘細胞性エナメル上皮腫

・口腔内腫瘍
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※注意!このブログ内には手術で切除した組織の写真があります。見られる方のみお読みください!

口腔内腫瘍は部位別発生頻度が第4位!

当院では歯科、口腔内の診察を専門的に行っているため、「口腔内腫瘍」を診断、治療する事が多くあります。

そして、「口腔内腫瘍」は稀なものではなく部位別に見ると4番目に多い腫瘍です。

腫瘍が発生しやすい部位は、1.皮膚 2.リンパ系 3.乳腺 4.口腔という報告があります。

腫瘍には「良性」と「悪性」があります。

良性腫瘍は緩やかに大きくなるものの転移などはしない為生命にかかわる事はありません。

しかし、悪性腫瘍は急速に大きくなり機能障害を引き起こしたり転移して、亡くなってしまいます。

今回は、口のなかにできものが認められた時にはどうしたらいいのかを症例交えてご紹介したいと思います。

まず、下の写真の様にできものを発見した場合は、すぐに動物病院に行きましょう。

そのできもの、、悪性?良性?

まず、大事なのはこのできものが良性なのか悪性なのかです。

ただ、獣医もこれが悪性なのかどうかというのは見た目ではわかりません。

なので、まずは組織検査をします。

何故ならば、上記のものは「形質細胞腫」という悪性腫瘍であり下記のものは「辺縁性歯原性線維腫」という良性のものになります。

ある程度は知識と経験ですぐに診断できるものもありますが、まず全身麻酔下で組織検査をします。

検査の流れ

①組織検査をする時は、腫瘍の大きさや深部への広がりを視診や触診にて確認します。

②口腔内レントゲンを撮影して骨への浸潤を確認します。

③リンパ節転移の確認や歯周病の状況など口腔内の状況を確認して、全体の状況を把握します。

④病理検査の結果が出て確定診断となり、飼い主様と治療方法を相談します。

しかし腫瘍の種類によって手術方法が異なり、確定診断がでないと確実な手術はできません。

一部の腫瘍を除いて悪性腫瘍の治療の大原則は外科切除となります。

補助療法として抗がん剤や放射線治療を行う場合があります。

症例① MIX犬 4歳 

主訴)1週間前から口の中がただれている

診断)右上顎犬歯と臼歯の間にできものを確認。

できものは臼歯を後ろに変位させているため腫瘍の可能性が高いと考えられます。

なので、まず組織検査で確定診断をします。

組織検査結果) 棘細胞性エナメル上皮腫(キョクサイボウセイエナメルジョウヒシュ)

治療方針)この腫瘍は周囲への浸潤が強く広範囲に切除しないと再発してしまう良性腫瘍なので右上顎の犬歯~臼歯まで含め切除。

切除した組織

手術6か月後

術後経過)外からの見た目の変化もなく、半年たち再発もなく健康に暮らしています。

悪性腫瘍は完全に取り切れ、完治と判断しました。

 

犬の口腔内にできる腫瘍TOP3
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